声なき声

今年から、重度心身障害児施設での衣類の繕いのボランティアを始めました。



重度心身障害とは重度の肢体不自由と重度の知的障害を合わせもつ障害で、その施設では200名以上の方々が医療と療育のケアを受けながら長期的に暮らしています。


未成年のうちは、保護者が介護をしながら自宅で生活をすることが多いそうですが、保護者の加齢とともに介護が困難になってくると、このような施設で暮らしていくことが多いそうです。




私はこのボランティアを見つけるまで、近所にこのような施設があることを知りませんでした。
知らなかった、というより視界に入っていても、見えていませんでした。
産まれてから一度も歩くことができずに生涯を終える人がいるということを、頭の隅で知っていても、それは他人事でした。




自分として産まれたくて産まれてきた人などおらず、産まれてきた時代も国も、育つ環境も選ぶことはできません。 
今の私が私であることは偶々そうであるだけで、今は健康に暮らしているけれど、今後なんらかの障害をもつ可能性もあります。
 
だから、目の前のどんな人も他人と思わずに、かかわっていきたい。

綺麗事ですが…。




例えば重度心身障害をもつ方は、Tシャツのタグが首にあたって痒かったとしても、自分で掻くこともできなければ、「かゆい、かいて。」と言うこともできません。
だから、できる限り想像をして、気付いてあげられるように、どうすれば着心地良く、過ごしやすくいられる服であるのか、考えながら繕っていこうと思います。



さほど痒くもないのに、「かいて!」と言える人が得をするような世の中で、それが悪いこととは思いません。
ただ、声を発することができない人の意思を、なかったことにはしたくないのです。




今の私にできることを、微々たることでも続けていこうと思います。



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